日本のたから。

TATSURO YAMASHITA「PERFORMANCE 2010」ニトリ文化ホール@札幌

2008年12月から2009年5月までの前回のツアーで「来年も!」という言葉を実現した達郎さん。今回は、前回のツアーで行けなくて悔しかったという友人が、そのまた友人さん達と協力してチケット獲りにがんばったおこぼれに与らせていただきました。こんなラッキーでもなければ、ナマ達郎を見ることなんてできなかったと思う。一番の感想は「山下達郎ってホントに存在するんだねっ!」ってこと。そして、あの人は、間違いなく日本の宝の一つだと思う。以下ネタばれありです。

今年はシュガー・ベイブでCDデビューしてから、35周年というメモリアルイヤー。57歳ですって!
私は、少し大げさに言えば「山下達郎」は存在しないと思っていました。いや、確実に歌を生み出している存在はあるけれど、あの歌声はあの風貌からは想像できなかったのです(失礼極まりない)。山下達郎都市伝説万歳。
でも、歌っている姿を見て、あぁ本当に「山下達郎」は存在しているのだなと。さらに私はあのお顔立ちから、「中肉中背のおっちゃん」を想像していた(失礼その2)のですが、推定身長175cm。細身のジーンズ。足長。そして、お顔は確かに愛嬌とかがあるわけではないですが(失礼その3)、今回は「去年のツアーで言い忘れたことあったんで」と、MC中ネタを書いた紙を見て、「うん」と頷いてから、しゃべり始めるのがとってもかわいらしくて。「うん」がかわいいのですよ。その他でもチラチラとチャーミングっぷりが。
そんな細身のかわいいおじさんが、歌い始めたら、「山下達郎」なわけですよ。すごいよ〜。「山下達郎、ホントに居た!」あの声、声量、音の重なり。CD以上だよ〜! 終演後、友人と焼き鳥屋さんで、ビール飲みつつ、達郎語りをしていたら、「達郎のライブ行ってらしたんですか?」とお一人で食事されていたコアな達郎ファンさん(ファン歴20年超…すごいよ…)からお声をかけてもらって少しお話したら、「昔に比べたらやはり高音は出なくなっている」とのこと。でも、久しぶりのツアーをやった去年のライブよりは声が出てるみたいとのことでした。あれで? うーん、すごいやこの人。

35周年のメモリアルツアーの1曲目が「HAPPY HAPPY GREETING」! KinKiファンとしては、もう無上の喜びです。KinKiに提供してくれた曲を、この場面で使ってくれたということは、達郎さんとしても気に入ってくれてるような気がして。テンション上がる。
あとは知らない曲に、知ってるフレーズや曲がたまに出てくるという状態だったのですが、楽しかった*1。達郎さんの他は、ドラムス、ギター、ベース、アルトサックス、キーボード、アコースティックピアノ、コーラス3人という編成。音の重なり・厚みがすごい、かっこいい。とっても計算されているのだろうな、と。「昔、フェスでやって、ヤジられたのがトラウマになっています」というシュガー・ベイブの完コピ(本人が居たバンドなのに、完コピと言われても…)をやってくれて、こりゃ、普通の人の1歩や2歩先行ってますって感じで、昔からこの人はこういう人だったんだろうなと。達郎さんの曲は、POPSなのかROCKなのか分からなくて、そんな分類関係ないじゃん、って感じですが、堂島くんの曲を聴いていると、少なくともPOPSをやっている人には、達郎さんは多大な影響を与えた偉大なミュージシャンなんだなと。

30代半ばまで売れなくて、「ツアーやっても客席半分くらいしか埋まらなくて、次いつやれるか、次いつこの場所でライブできるか分かんないから、できることはすべてやろうと思ってやってたら、いつのまにか達郎のコンサートは3時間を超えるのが当然になっちゃった」っていう言葉が印象的で。「できることはすべてやろう」っていう精神が素敵だなと。それが大御所になった今でも、3時間超のライブなワケですか。なるほど。話術も長けていないとナカナカ3時間は苦しいかと思うのですが、知らない曲がほとんどでも、アっという間の3時間。

山下達郎という人が、才能の上に、努力を重ねる人であったという奇跡。日本の音楽界には、たくさんの宝があると思いますが、達郎さんもそのひとつだと思います。私の中では、生きているうちに直接生であの歌声に触れることができて、貴重な体験となりました。

*1:気持ちよい音に多少眠さと戦いながら(アルファー波が出てたんだと思う)