「鳥井&坂木シリーズ」坂木司

青空の卵 (CRIME CLUB)

青空の卵 (CRIME CLUB)

僕は坂木司外資系の保険会社に勤務している。友人の鳥井真一はひきこもりだ。プログラマーを職とし、料理が得意で、口にするものは何でも自分で作ってしまう―それもプロ顔負けの包丁さばきで。要するに外界との接触を絶って暮らしている鳥井を、なんとか社会に引っ張り出したい、と僕は日夜奮闘している。そんな僕が街で出合った気になること、不思議なことを鳥井の許に持ち込み、その並外れた観察眼と推理力によって縺れた糸を解きほぐしてもらうたびに、友人の世界は少しずつ、でも確実に外に向かって広がっていくのだった…!?気鋭の新人による書き下ろし連作推理短編集。

仔羊の巣 (創元クライム・クラブ)

仔羊の巣 (創元クライム・クラブ)

僕、坂木司とひきこもりの友人、鳥井真一との間にも、変化の兆しはゆっくりと、だが確実に訪れていた。やがていつの日か、友が開かれた世界に向かって飛び立っていくのではないか、という予感が、僕の心を悩ませる。そんな僕の同僚、吉成から同期の佐久間恭子の様子が最近おかしい、と相談されたり、週に一回、木工教室の講師をするようになったという木村さんからの誘いで、浅草に通うことになった僕たちが、地下鉄の駅で駅員から相談を受けたり、と名探偵・鳥井真一の出番は絶えない。さらには、僕の身辺が俄に騒がしくなり、街で女の子から襲撃されることが相次ぐ。新しく仲間に加わった少年と父親との確執の裏にあるものとともに、鳥井が看破した真実とは…?『青空の卵』で衝撃のデビューを飾った坂木司の第二作品集。

動物園の鳥 (創元クライム・クラブ)

動物園の鳥 (創元クライム・クラブ)

ひきこもりの友人を外の世界へ連れ出そうと努力を続ける坂木司。動物園で起こる不思議な現象に、鳥井真一は筋道の立った回答を導き出すことができるか? 『青空の卵』『仔羊の巣』に続く感動の第3弾!

数ヶ月前に日経夕刊の書評に出ていた作家。どの本についての書評だったのかは忘れたのですが、鳥井&坂木シリーズ(ひきこもり探偵シリーズ)が有名だったようなので、まずはこれから。
北村薫と同じく覆面作家(もっとも北村先生はもう“覆面”ではないけれど)。日常の「?」を解き明かす。善き人間のセンチメンタルな描写。似ている要素がたくさんあるので、北村先生好きは好きな作家になる可能性ありかと。
自分は、北村先生好きだけれども、それ以外にもこの作品がいいなと思った理由はふたつ。
1.坂木司に共感。涙もろいところとか、人の悪意に弱いとか。
2. シリーズ1作目をKinKiコンの後に読んだせい(絶対そうそうなのよ!)か、二人があの二人にダブる(…)。かたくなに外界を拒み、坂木を唯一の心のよりどころとしている鳥井と、外界に目を向かせようとする坂木。ときどき精神的に不安定になる鳥井と、それを支える坂木。どっちがどっちとはいえないけれど、コレは光一さんだなーとかコレは剛さんだなーと、いつの間にか堂本さんたちに当てはめて読めてしまった(特に1作目)。

本格的な謎解きや、あまりセンチメンタルな文章が好きではないという方は、物足りないと思いますが、そうじゃない方は、一年の初めに心のあり方を改めて考えるにはよい文章だと思います(妄想逞しい方はKinKiで妄想してみるとより楽しいカモ☆*1

*1:こんな作品の紹介の仕方でスミマセン。