高田崇史「龍馬暗殺」

QED 龍馬暗殺 (講談社ノベルス)

QED 龍馬暗殺 (講談社ノベルス)

高知の山奥にある蝶ヶ谷村。嵐による土砂崩れで麓への一本道が塞がれる中、殺人と自殺の連鎖が十人の村人たちを襲う。巻き込まれた事件の最中、崇たちは竜馬暗殺の黒幕を決定づける手紙の存在を知り…。「QED」第7弾。

昨年の大河ドラマ新選組!」で、周り(Web上での巡回先)がえらく盛り上がっていたのをちょっと羨ましく思いながら、でも自分は「新撰組」にあんまり興味がもてなかったし、新撰組はおろか坂本龍馬などの幕末期にも(というか総じて日本の歴史と言うべきか)興味がなかったので、そんな自分には本書は「幕末期入門書」のようで崇くんの薀蓄がいままでになく楽しくすんなりと読めた。逆に言えば、幕末期の歴史に詳しい人には退屈かもしんない。
本作の殺人事件は、今までこのシリーズを読んでいるせいか因習に絡めとられている現代の一寒村を「有り得る話」として感じることができ、これまでの作品にくらべて非常にドラマチックに描かれているような感じがした。
相変わらず殺人事件の解決と崇くんの薀蓄にはあんまり関係がないけれども、殺人事件の謎解きと薀蓄、どちらも楽しめたのでシリーズの中では一番面白かったように思う。