渡辺容子「無制限」

無制限 (講談社文庫)

無制限 (講談社文庫)

離婚成立直前に夫が失踪した。新しい恋人との結婚のため夫を捜しはじめた妃美子は、彼が一軒のパチンコ店に頻繁に出入りしていることを知る。警察との癒着、裏技による不正、景品交換所での強盗殺人事件…業界の暗部に夫の影を垣間見た彼女は深い疑念の渦へと巻き込まれていく。迫真の長編サスペンス。

前作「左手に告げるなかれ」が面白かったので、本書にも手を伸ばした。面白いのだけれど、どうも2時間サスペンスドラマを見ている感じがしてしまう……。主人公とその恋人がどうなったのか含みをもたせる書き方とか、いきなり主人公の女性が自立を目指しちゃうところとか。でも、本書は2時間ドラマでやろうとすると、失敗するんだろうとは思う。そこが歯がゆいところ。個人的には2時間サスペンスドラマ好きだけれど、この作家さんは力のある人だと思うので、含み感をもたせる書き方じゃなくて、スッキリ終わらせてほしい。でも、別の作品も読むでしょう。