綾辻行人「時計館の殺人」

時計館の殺人 (講談社文庫)

時計館の殺人 (講談社文庫)

館を埋める108個の時計コレクション。鎌倉の森の暗がりに建つその時計館で10年前1人の少女が死んだ。館に関わる人々に次々起こる自殺、事故、病死。死者の想いが籠る時計館を訪れた9人の男女に無差別殺人の恐怖が襲う。凄惨な光景ののちに明かされるめくるめく真相とは?第45回日本推理作家協会賞受賞。

館シリーズ第五弾。今回のトリックは、トリックだけを見たら「それ反則じゃん!(そんなの有る訳ないよ〜)」と思うけれど、でもこれまでの館シリーズ全体がトリックの舞台装置となっていて、素直に「ヤラレタ(この作品群なら有り得るわ)」と思える。
森センセの作品はどこか非現実的で(「天才」にはリアリティがあるんだろうけれど)、だから楽しめる。でも、綾辻センセのは、館という舞台装置は非現実的だけれど、その他が現実的で、だからこそ怖いし小説としても楽しめるんだな、と思ってきた。怖いの苦手だけれど、綾辻センセの作品かなり好きかも。今のところ、館シリーズではこれが一番好きかな。
しかしこの作品。何故か、ルパン3世カリオストロの城」をイメージしながら読んでました(時計という以外は全く接点ないのに/笑)。