綾辻行人「黒猫館の殺人」

黒猫館の殺人 (講談社文庫)

黒猫館の殺人 (講談社文庫)

6つめの「館」への御招待──自分が何者なのか調べてほしい。推理作家鹿谷門実に会いたいと手紙を送ってきた老人はそう訴えた。手がかりとして渡された「手記」には彼が遭遇した奇怪な殺人事件が綴られていた。しかも事件が起きたその屋敷とはあの建築家中村青司の手になるものだった。惨劇に潜む真相は。

館シリーズ」第六作。本作前に「霧越邸〜」を読んでいたせいか、「館シリーズ」は読みやすいとはっきり感じる。シリーズ物は、自分の中で作品に対する「読み方」を模索する必要がないので、読み易いのだよね。しかし、本作は伏線の嵐!で、(普段から)ぼーっと読んでいる自分の記憶力のなさも痛感(あはは)。
以下ネタバレ含むので隠します。

記憶喪失の老人が誰なのかは、「解答」が提示される前にぼんやりとは分かるけれど、「館」の謎については、そう来たか〜!という感じだった。「館シリーズ」は、やはり「館」が主人公なんだと感じるようになってきた今日この頃(遅)。伏線の嵐!で、どんなトリックがあるのかを解くことに主眼を置いている人にとっては物足りないかもしれないけれど、私の場合は、細部にわたって「よく考えてるよな〜」と感心→そう来たか〜!に繋がりました。時間があったら再読したい(←図書館の返却期限が迫ってるので今回は断念/笑)。