綾辻行人「霧越邸殺人事件」

霧越邸殺人事件 (新潮文庫)(←画像がないので文字リンクのみにて。)

或る晩秋、信州の山深き地で猛吹雪に遭遇した8人の前に突如出現した洋館「霧越邸」。助かった…安堵の声も束の間、外界との連絡が途絶えた邸で、彼らの身にデコラティブな死が次々と訪れる。密室と化したアール・ヌーヴォー調の豪奢な洋館。謎めたい住人たち。ひとり、またひとり―不可思議極まりない状況で起こる連続殺人の犯人は。驚愕の結末が絶賛を浴びた超話題作。

1991年(1990年度)の文春傑作ミステリー・ベスト10(国内部門)でベスト1となった作品(宝島社「このミステリーがすごい!」では7位)ということだったし、今まで読んだ「館シリーズ」も好きだし。ということでかなり期待を持って読んだのですが。……。(哀しい哉)謎解きに至るまでで飽きちゃって「早く事件が起こって!(←ヒドイ) 解決して!」と思ったのは、私が「小説を味わう」というセンスに欠けてるからだと思います(反省)。ミステリーではなく、その世界感を味わう気持ちの持ちようが必要だと思いました。
あとがきでの奥様(小野不由美氏)への感謝の辞に、ほわわわ〜ん。

以下ネタバレ含むので隠します。
解決には直接に関係しない美術品や文学のアレコレは、北村薫センセの「六の宮の姫君」を読んでるかのごとく、退屈であったことよ(←「小説を味わう」センスが無いことの証明)。それにもまして、劇団主催者(表の探偵役)の思想は物語上必要なものだったけれども、私にとっては理解の及ばないところで読むのが大儀だった。でもそこがミステリーとしては肝だったりするわけで。この2点が、この作品を「……」と感じた原因だと思われます。